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青森地方裁判所 平成8年(わ)45号 判決

主文

被告人を懲役六年六月に処する。

未決勾留日数中五〇〇日を右刑に算入する。

訴訟費用は全部被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、神戸市で宝石商等を営んだ後、自らを大日如来の化身「大日浪切不動明王」などと称して宗教的組織を主宰するようになった。被告人は、釜焚きと称する儀式を行うようになり、十数年前から、眷属と呼ばれる弟子をとるようになった。平成三年六月ころ、被告人は、青森市に来て、本家と称する青森市大字石江字岡部一五七番地九所在の建物に眷属の女性と共に暮らしていた。一林克昌は、昭和六三年六月ころ、千葉県八街市にある篠崎薬局で薬剤師として稼働し始めたが、そのころ、同薬局の経営者篠崎州宏から被告人を紹介され、その後被告人から加持祈祷類似の行為を受けるなどして被告人を信奉するようになり、平成四年八月ころから、被告人の指示により、青森市古川一丁目一五番一〇号所在の宝冠堂薬局の薬剤師として働き、同年一一月ころから、同薬局の客に対し、霊視をして金を取るなどしていた。

被告人は、平成五年二月ころ、前記本家において、一林に対し、釜焚きと称する儀式のやり方を教えた上、「釜焚きを利用してそれで対価をもらいなさい」、その人の「持っている金に合わせて、できる限りのその人が痛いと思うくらいの金を取りなさい」などと指示をして、この頃、宝冠堂薬局の店長である一林と被告人との間に、それ自体としては直接的かつ確実に病気などを治癒する効果を有しない釜焚きを行って、宝冠堂薬局に来た客らに対して、釜焚きで病気などが治癒されるかのように話して釜焚きに病気などを治癒する効果があると信じ込ませて、釜焚き料の名目で金員を詐取することの共謀が成立した。

一林は、被告人との右共謀に基づき、平成五年二月ころから平成八年一月六日ころまでの間、別紙犯罪事実一覧表記載のとおり、前後三六回にわたって、前記宝冠堂薬局ほか一か所において、自己又は家族らが病気を患うなどの悩みを抱えて同薬局を訪れるなどした葛西秀子ほか三六名に対し、真実は、同人らが抱えている病気などの原因がいわゆる霊障などではなく、釜焚きには直接的かつ確実に病気などを治癒する効果がないにもかかわらず、病気などの原因が霊障であり、釜焚きには直接的かつ確実に病気などを治癒する効果があるかのように装い、一林において、同表「欺罔文言」欄記載の虚偽の事実を申し向けて金員を要求し、その旨葛西秀子らを誤信させ、よって、釜焚きの対価の名目で、

(一)  平成五年五月中旬ころから平成七年一一月二〇日ころまでの間、前後八一回にわたり、宝冠堂薬局において、葛西秀子ほか三三名から現金合計三一八〇万五〇〇〇円の交付を受け、

(二)  平成五年一一月二一日ころ、土岐宏子をして、現金一〇〇万円を同市古川一丁目一七番二一号所在の古川宝冠堂薬局において、被告人の眷属でその指示により同薬局の経営を任されていた笹孝之に交付させ、

(三)  平成五年一一月二二日ころから平成七年一二月一一日ころまでの間、前後一五回にわたり、宇野民人ほか一三名に協同組合青森日商連とクレジット契約を締結させ、同契約による同人らの依頼に基づき、同協同組合をして、合計金九二二万六八〇〇円を同市松原一丁目一六番二一号所在の青森銀行志功館前支店に開設した宝冠堂薬局笹孝之名義の普通預金口座へ振込送金させ、

(四)  平成七年一月三一日ころから平成八年一月一九日ころまでの間、前後一五回にわたり、小笠原重志ほか二名から電信為替又は現金書留により合計金三二五万円を宝冠堂薬局に送金させ、

(五)  平成七年三月三一日ころから同年一一月三〇日ころまでの間、前後七回にわたり、小笠原重志ほか二名から同市古川一丁目一五番一一号所在の北奥羽信用金庫古川支店に開設した宝冠堂薬局笹孝之名義又は一林克昌名義の普通預金口座へ合計金一八五万円を振込送金させ、

以上総額四七一三万一八〇〇円を騙取したものである。

(証拠の標目)省略

(事実認定の補足説明)

第一  被告人は、捜査段階から一貫して、本件は一林克昌(以下「一林」という。)が勝手にやったことであり被告人には関係がない、霊視をしようが、釜焚きをしようが一円も取ったことはないなどと主張して一林との共謀を否認しており、弁護人も、被告人が一林と本件を共謀した事実は認められない旨主張しているので、以下、補足して説明する。

一  以下の事実は、当事者間に概ね争いがなく、関係証拠上、認定することができる。

1 被告人が主宰する宗教の内容等

(一) 被告人は、昭和二四年神戸市に生まれて、神戸市で宝石商等をしていたが、その後神道系と仏道系を混合したとする宗教的な営みを行うようになった。被告人は、自らを大日如来の化身であるとして大日浪切不動明王などと称し、周りの者から「お不動様」などと呼ばれていた。被告人は、「神降ろし」という被告人が霊視をした人に合う神仏をその人の守り神として降ろすという儀式を行っていた。被告人は、十数年前から、自ら主宰する宗教上の弟子をとるようになり、自らが「神降ろし」をした者を眷属と称して直弟子としていた。被告人は、釜焚きと称する儀式(以下「釜焚き」という。)を義理の姉から教えられて身に付けた。被告人は、病気などの災いの原因は先祖の霊、水子の霊などの悪霊が取り憑いているからだ、悪霊を成仏させなければ災いはなくならないなどと説いて、霊視をしたり、地獄にいる悪霊を一挙に成仏させることができるなどとして、自己の眷属などに対し、釜焚きをしていた。

(二) 被告人は、平成三年六月ころ、来青し、本家と呼ばれる青森市大字石江字岡部一五七番地九所在の土地建物(以下「本家」という。)を購入し、居住するようになった。被告人は、本家を購入するに際し、菅井保基と名乗り、同人の名義で契約を締結して現金で一八〇〇万円を支払い、所有権移転登記などを済ませた。被告人は、その眷属である般若こと金井春美、金比羅こと芳谷斎子、倶利伽藍こと瀬間千鶴、吉祥こと増田由美子、阿茶羅こと田沢美和子、田村昭子、中津川洋子、佐藤麻美及び杉崎すみか(以下「眷属の女性」という。)並びに右眷属の女性との間にできた四人の子供と一緒に本家で暮らしていた。被告人は、来青後、随所で、菅井保基と名乗っており、本名を名乗ることはなかった。

(三) 釜焚きは、真言宗などの一部の宗派でも使われている鳴動釜を用いて行われる儀式である。鳴動釜の中の桶の中間付近には米を乗せる金網が取り付けられており、釜焚きは、一定の状態で上から米をまぶすとボーッというような音が響動して鳴るという物理現象を利用するものである。鳴動釜を移動したり、火力を調節するなどにより、音を止めたり、低い音にすることができる。釜焚きには、直接的に病気を治癒する効果はない。

2 株式会社宝冠堂の登記名義人等

平成四年八月一〇日ころ、笹孝之(以下「笹」という。)は、青森市古川一丁目一五番一〇号のビル内に、管理者を一林とする「宝冠堂薬局」の開設を申請した(弁一九)。同年一一月一九日付雇用契約書では、笹が、薬剤師である一林を雇用する内容の契約となっている(弁二一)。

同年一一月二〇日ころ、笹は、同市古川一丁目一七番一五号所在の「古川宝冠堂薬局」の開設を申請した(弁二〇)。

その後、宝冠堂薬局は、資本金一〇〇〇万円、目的を薬局経営等、本店所在地を青森市古川一丁目一五番一〇号として、平成六年二月一六日株式会社宝冠堂(以下「宝冠堂薬局」又は「宝冠堂」という。)という法人形態とされた。宝冠堂設立時の代表取締役として一林が、取締役として一林、田村義弘、菅井保基が各登記されている。宝冠堂の定款(弁一二八)によると、設立時の出資者である一林、田村義弘、菅井保基及び笹が各五〇株の株式を有している旨の記載がある。

3 株式会社宝船(以下「宝船」という。)の登記名義人等

宝船は、生鮮食料品、魚介類等の販売、レストラン等の経営等を目的とし、本店を本家所在地として、平成六年九月一三日に成立した株式会社である。定款によると、一林が一九八株、中村清巳及び菊地尚則が各一株、宝船の株式を有している旨の記載がある。宝船設立時の代表取締役として菊地尚則が、取締役として一林及び中村清巳が各登記されている。

宝船は、青森県内等各地に店舗を増やし、最終的に一〇店舗まで店舗を増やした。

4 株式会社アクティブコーポレーション(以下「アクティブ」という。)の登記名義人等

アクティブは、マリンレジャー施設の経営、釣具などの販売、自動車の販売及び修理等を目的とし、本店を青森市大字油川字大浜六八番地二二一として、平成四年九月八日成立した株式会社である。アクティブの資本金一〇〇〇万円は、田村義弘が支出した。アクティブ設立時の代表取締役として田村義弘が、取締役として田村義弘、田村康幸、赤石憲彦及び菅井保基が各登記されている。定款によると、田村義弘、赤石憲彦、菅井保基、田村康幸、田村恵子、田村文人、田村朋子及び田村昭子がアクティブの株式各二五株を有している旨の記載がある。

(以下「宝冠堂」、「宝船」及び「アクティブ」を「関係三社」という。)

5 平成七年一一月ころ、関係三社は、国税局から税務調査を受けた。被告人は、その税務調査に協力するように依頼されたが、これに応じなかった。同年一二月ころ、被告人は、眷属の女性と共に、静岡県伊東市にある現住居地に転居した。

6 平成九年三月六日、一林は、青森地方裁判所において、本件各詐欺により懲役三年執行猶予五年(保護観察付)の判決の言渡しを受けている。

二  右の事実のほか一林の捜査段階及び公判段階における供述(一林の検察官に対する各供述調書《乙二〇、二一》、証人一林克昌に対する当裁判所の尋問調書二通及び第二一回公判調書中の証人一林克昌の供述部分。以下「一林の供述」という。)、第五回ないし第八回公判調書中の証人笹孝之の供述部分(以下「笹の供述」という。)、第八回ないし第一〇回公判調書中の証人田村康幸の供述部分(以下「田村康幸の供述」という。)、第一一、一三、一四回公判調書中の証人菊地尚則の供述部分(以下「菊地の供述」という。)及び第一六回ないし第一八回公判調書中の証人岩本直樹の供述部分(以下「岩本の供述」という。)等の関係各証拠を総合すると、一林が宝冠堂で本件各詐欺を行うまでの経過などについて、以下の各事実を認定することができる。

1 一林は、昭和六三年六月はじめころ、仕事で知り合った篠崎州宏(以下「篠崎」という。)が経営する千葉県八街市の篠崎薬局で薬剤師として店長の仕事を始めた。その頃、一林は、篠崎薬局の経営者である篠崎に連れられて千葉県成田市にある被告人の家に連れていかれた。その際、一林は、被告人から、体の調子の悪いところを聞かれたりした上、「仏を成仏させなければ一家が破滅する、病気になる、死人が出る」といった脅迫めいたことを言われた。被告人は、一林に対し、「仏を成仏させるために体の中に神様を入れましょう、そうすれば生きていける、私に従ってこれから生きて行きなさい」等と言い、その後、一林は、夜仕事が終わった後、毎日のように被告人のところへ通うようになった。当初は被告人の言動に疑いの念を持っていたものの、ほとんど毎日、芳谷斎子や被告人が「やらなければ死ぬ、一家が破滅する、駄目になる」と脅迫めいたことを言い続けたことから、一林は、次第に被告人の言うことを信じ込むようになった。一林は、被告人から金剛不動明王が降りたと言われており、その後、大日金剛夜叉大明王等と名乗ったりしていた。

この頃、篠崎と一〇回ほど香港へ旅行をするなどした際に負担した一林の借財の額が一二〇〇万円ほどになり、被告人がその借金の肩代わりをしたことから、一林は、被告人に恩義を感じていた。

平成二年三月、篠崎薬局は倒産し、一林は、被告人の指示により、赤石憲彦(以下「赤石」という。)が社長をする平和堂薬局で、四、五か月の間、薬剤師として薬品の販売をした。平成二年八月ころ、一林は、被告人の指示により、被告人の眷属の芳谷斎子(以下「芳谷」という。)が代表者である株式会社芳谷が経営する芳谷薬局で、店長として働いた。一林は、薬局の閉店後、同薬局の売上げを被告人の自宅に持参し、被告人や芳谷らに渡した。

2 平成三年五月ころ、被告人は、金井春美、芳谷、瀬間千鶴、田沢美和子及び増田由美子らの眷属を連れて、千葉県を去り、同年六月ころ、青森市に行き、菅井保基名義で、本家を購入した。一林は、被告人から、きちんと営業をするように言われたことから、芳谷薬局の営業を続けた。右営業の継続のために、一林は、実家から相当多額の金銭を援助してもらうなどして、何とか同薬局の支払などに充てた。平成四年一月一日ころ、被告人から呼び出されて、本家に、一林、赤石、菅井保基らが集まった。その際、被告人から定期的にお金を持ってくるように言われたことから、一林は、月に何度か来青した際に、被告人に金を渡すようになった。

3 宝冠堂について

平成四年五月ころ、被告人は、青森市在住の五戸栄子(以下「五戸」という。)に対し、全面的に面倒を見てあげるなどとして、薬局を経営する話を持ちかけ、五戸は、右薬局に出資することになった。五戸は、一五〇〇万円の預金を銀行から降ろして、被告人に渡した。五戸は、被告人に対し、薬局開設に当たり一林に一五〇〇万円を無条件で融資する、同人に毎月給料として三〇万円を払うことなどが記載された念書を渡した。右一五〇〇万円の内一〇〇〇万円ほどが芳谷薬局の債務の返済に、内五〇〇万円ほどが宝冠堂薬局の準備に充てられた。

平成四年六月中旬頃、被告人は、青森市栄町の不動産業者を訪れ、「薬屋をやるから、どこかいい場所を探してくれ」と依頼し、宝冠堂所在地となったスカイビルを紹介された。同ビルの賃貸借契約には、被告人、金井春美及び一林らが立ち会い、被告人は「スカイビルの一階を借りて薬局をやりたい、一林さんが薬剤師で、女の人が店長として営業するので、店長の女の人(五戸)を借り主とし、自分を連帯保証人として契約したい」などと話をし、菅井保基名義で連帯保証人となった。その後の、同ビルの借り増し契約等にも、被告人は、菅井保基と名乗って立ち会った。

五戸に被告人が降ろしたとされる神様の名前が宝冠観音であったことから、被告人は、薬局の名前を宝冠堂と決めた。一林は、被告人の指示により、問屋を探す交渉、保健所への開設許可手続などを行った。

その後、五戸が薬局経営を辞めると言い出したことから、被告人は、被告人により神降ろしの儀式を受けて平成四年四月末ころから被告人のところへ通っていた笹に対し、「それでは笹しかいないから笹さんやりなさい」と言って、笹に薬局経営を持ちかけて、笹が宝冠堂の薬局開設者となった。五戸が前記賃貸借契約を解除したことから、被告人は、前記業者を本家に呼び、「笹さんが店長、一林さんが薬剤師として、宝冠堂薬局という名前で薬局を始めるから店長の笹さんを借主に、連帯保証人を一林さんとして改めて契約したい。」などと話して、笹を借り主として賃貸借契約が締結された。一林を薬剤師にして、笹を開設者にすることは被告人が決定した。平成四年八月一三日ころ、青森銀行志功館前支店から笹名義で、連帯保証人を菅井保基、菅井保基名義の本家の土地建物及び青森市油川の土地建物を担保として、二九〇〇万円が借り入れられた。右融資の申込みに際し、被告人は、菅井保基と名乗り、「私は石江に自宅を持っており、静岡や千葉において薬局のノウハウを学んできてこちらの笹さんの腰痛を治してあげたきっかけで笹さんと知り合った、私が持っている薬局経営のノウハウを笹さんに勧めたところ笹さんが薬局を開きたいことになった、したがって笹さんが事業資金が必要となったのでその融資をしてほしい」等として、融資目的、融資金額、担保物件、返済条件等のほとんどの説明をした。二九〇〇万円は、北奥羽信用金庫の宝冠堂薬局笹孝之名義の口座に振り込まれた。当初は、右口座の預金通帳と印鑑を一林が預かった。

平成四年八月二五日ころ、宝冠堂薬局は、オープンした。オープン当初の約三か月間、被告人は、同薬局で、販売の手伝いをした。薬品の仕入先の選択、問屋との交渉、商品の仕入れなどはすべて一林が行った。宝冠堂の経費のほとんどの支払は、小切手で行われた。オープン当初、一林が小切手帳を預かり支払をしたことがあったが、その後、宝冠堂薬局関係の小切手帳、通帳、印鑑は本家に預けられた。最初の一、二か月は銀行の者が売上げを宝冠堂に受取りに来ていたが、その後全て金員の出入れを本家でやることになり、一林はほとんど金の出入れをしなくなった。一林は、宝冠堂の営業終了後、毎日売上げを持って本家に足を運び、被告人又は眷属の女性らに渡すようになった。

宝冠堂で働いた当初の三か月間、被告人は、悩みを訴えて相談にくる客を二階に上がらせて、霊視をし、先祖があなたに訴えてきている、だから病気がある、取らなければだめになる等という話をしたが、報酬は取らなかった。その後、同年一一月ころ、被告人は、一林に指示をして、一林が被告人を引き継いで霊視をすることになった。被告人は、一林に対し、「霊が見えなくても中に神様が入っているから取ろうと思えば取れる、やって行け」、「座らせてお経を唱えていると体が疲れてか手が動いたり、体が揺れたり、それが霊の仕業なのでそれでいい」などと言ったりした。一林は被告人から「お前はお金を取れ」などと言われたことから、霊視の対価を客から得ていたが、しだいに薬局の売上げが五〇万円あれば五万円程度は、霊視の収入が占めるようになった。被告人は、一林に対し、「霊視は原価がゼロなのでそっちを伸ばしたほうが利益になる」、「ドンドン伸ばせ」などと話した。被告人は、宝冠堂の売上げが悪ければ一林を怒り、よければもっと上げろと言ったりしていた。売上げが悪い日には、被告人は、一林に対し、上の神様に対する心が悪いとか、心がよければ身も心も尽くす等と宗教にことつけた話をした。

平成四年一二月ころ、笹は、被告人に言われて古川宝冠堂薬局の店長をすることになり、同月三日ころ、古川宝冠堂薬局が開局した。笹は、古川宝冠堂薬局の売上げを被告人のいる本家に届けた。

平成五年三月下旬ころ、被告人は、笹に対し「笹さんもそろそろ霊視、人を見てもいいんじゃないか」等と言って、古川宝冠堂で霊視をすることを勧めた。笹は、被告人からアドバイスを受けるなどして、被告人のやり方を真似て霊視をするようになった。笹は、霊視の売上げを古川宝冠堂の売上げとして被告人の下に届けた。平成五年八月ころ、被告人は、笹に対し「宝冠堂のほうに客を回しなさい」と話をした。

4 釜焚きについて

平成四年七月ころ、一林、笹、田村康幸を含む被告人の眷属のほとんどが本家に集合した。被告人は、釜焚きを行って、「地獄の釜の蓋が開く、地獄の釜の蓋が開くと同時に、地獄にいる仏、亡者が全部上がってくる、霊が成仏すればその人に付いている体の不調は良くなる、病気そのものは九九パーセントが霊障だ」などと説明をした。また、被告人でなければ釜は鳴らせないなどと話をした。

平成五年二月ころ、本家の大広間において、笹、菅井保基、田村康幸、眷属の女性が同席の下、被告人は、「教えてあげるから自分が言ったとおりにやりなさい」などと言って、一林に対し、釜焚きの方法を教えた。その際、被告人は、「頭を下げてありがとうございましたと言えばなりやむ、神様が止ませてくれる」、「七輪の火はマグマで、釜は地獄の釜、そこで仏があがってくるので、米は供物で供養になる、霊障といって苦しんで訴えてきている状況を人の体で映し出してくる、釜焚きをして先祖の霊を上に上げてやれば病気は全て治る」等と説明し、「釜焚きを利用して病気のお客さんが来たら病気を釜焚きで治してやれ、それで対価をもらいなさい、できる限り取りなさい、その人が病気で困っているから治りたければ金を出す、持っている金に併せてできる限りのその人が痛いと思うくらいの金を取りなさい」などと指示をした。被告人は「パフォーマンスを加えてやれ。」、「仰々しくやれ」などと指示していた。被告人は、一林に対し、宝冠堂でも練習して使っていけなどと指示をした。その後、被告人は、一林が釜焚きをするための鳴動釜を、京都の業者に注文した。

この頃、被告人は、赤石、川村信子等に対しても、釜焚きの方法を教えた。その際、「一林先生は、一〇〇万、二〇〇万円を取っている」とか「お釜焚きは一〇〇万円、二〇〇万円の価値はある」などと話をした。

一林は、平成五年二月ころから平成八年一月ころまでの間、別紙犯罪事実一覧表のとおり、釜焚きを使った詐欺を繰り返した。一林は、宝冠堂の売上げの中から、薬局の売上げを一階分として、霊視や釜焚きによる売上げを二階分として区別し、本家にいる被告人に渡した。一林は、被告人に対し、「今日、釜焚きを何回やって一人からいくらもらった」などと報告していた。

5 アクティブ及び宝船について

アクティブは、被告人から神降ろしの儀式を受けていた田村康幸に対し、被告人が、将来田村康幸を社長にするためなどとして、設立を持ちかけて、同人の父義弘が一〇〇〇万円を出資して設立された。アクティブは、自動車の輸入販売、釣具屋の経営等をしたが、その売上げは、本家に持参された。

宝船は、被告人から神降ろしの儀式を受けて本家に通ってきていた菊地尚則(以下「菊地」という。)に対し、被告人が「青森に菊地さん、今度進出だよ。」、「菊地さん寿司屋をやろうよ。」などと言って寿司屋の経営を持ちかけて、一〇〇〇万円の資本金を菊地に渡すなどして設立された。平成六年一二月一五日ころ、青森市石江に宝船一号店がオープンし、青森県黒石市で居酒屋を経営した経験のある菊地が店長になった。宝船の営業終了後、菊地は、売上金を毎日ビニール袋に入れるなどして本家へ持参した。宝船は、その後店舗数を増やしていったが、各店舗の店長は、店の営業が終わると本家に集った。宝船の経費の支払いは、本家で各店長が般若こと金井春美ら眷属の女性から受け取る現金や小切手で行われた。

関係三社で働いていた者のほとんどは、被告人の眷属並びに被告人の眷属である一林及び笹などの眷属であった。宝船やアクティブの毎日の売上げは、田村昭子が本家で集計した。関係三社の支払などに充てるための手形等の振り出しは、ほとんど金井春美が行った。

6 被告人が主宰する宗教的な組織の中で、一林は、眷属の女性を除く関係者の中では、被告人に次ぐナンバー2の地位にあった。

7 平成七年一二月一九日ころ、被告人は、一林に対し、「後はお前に任せる、薬局と寿司屋と会社は存続させて営業しなさい」と指示をし、その後眷属の女性らと静岡県伊東市に転居した。

三  被告人と一林との共謀の成否について

前記認定した事実によると、被告人は、主宰する宗教を総括する絶対的な立場にあったこと、被告人は宝冠堂がオープンしてしばらくしてから、一林に対し「お前はお金を取れ」などと言って、宝冠堂の客に霊視をしてお金を取ることを指示して、宝冠堂の売上げの一部が霊視による収入になっていたこと、眷属の女性を除く関係者の中では古くから被告人に師事してナンバー2の地位にあった一林に対し、眷属らのいる前で、平成五年二月ころ、釜焚きのやり方を教示し、かつ、「釜焚きを利用して病気のお客さんが来たら病気を釜焚きで治してやれ、それで対価をもらいなさい、できる限り取りなさい、その人が病気で困っているから治りたければ金を出す、持っている金に合わせてできる限りのその人が痛いと思うくらいの金を取りなさい」などと指示をし、宝冠堂でも使っていけなどと伝えたこと、被告人が中心となって釜焚きにより不正の対価を得ることを発案し、一林が釜焚きをするための鳴動釜を業者に注文したことなどが認められ、以上を総合すると、被告人が中心となって釜焚きにより不正の対価を得ることを発案し、一林に指示するなどして、平成五年二月ころ、宝冠堂薬局の店長である一林と被告人との間に、宝冠堂薬局に来た客に対して、それ自体としては確実に病気などを治癒する効果を有しない釜焚きで病気等が治癒するかのように騙して金銭を得るという詐欺を行うことの共謀がなされたものと認定することができる。

そして、右共謀の内容は、毎日継続される宝冠堂薬局の営業の中で、客に対して霊障などの存在をほのめかし、釜焚きを行えば病気等が治癒するなどと信じ込ませて釜焚きを行って金員を詐取するという趣旨のものであり、その後、一林は被告人に対し宝冠堂薬局の売上げについて、一階分(薬局の売上げ)と二階分(釜焚き等による売上げ)とを分けて本家に持参して被告人に売上げを報告している(したがって、被告人は、宝冠堂の売上げの中に一林による釜焚きによって得た金銭があると認識していたものと認められる。)。そして、一林の報告を聞いた被告人は、他の眷属らに対し、アクティブや宝船でももっと売上げを伸ばせるはずだなどと言っていたことなどに照らせば、右共謀に基づいて、その後の一林による平成八年一月までの間の本件各詐欺行為が続けられたこともまた明らかである。

なお、弁護人は、被告人が青森市を去り、静岡県伊東市に引っ越した平成七年一二月以降は、被告人が関係三社を実質的に経営していたはずはないし、一林との共謀もあり得ない旨主張している。しかし、前記のとおり、被告人は、青森を去るにあたって、一林に対し、「後はお前に任せる、薬局と寿司屋と会社は存続させて営業しなさい」と指示をしている上、前記のとおり、一林は本件で逮捕された当初は被告人をかばう供述をするなどしており、したがって、被告人の一林への影響力は被告人が伊東市に引っ越した後も継続していたことは明らかであること、共謀の内容が前記趣旨のものと認められることに照らすと、被告人が青森を去ってから最後に一林が釜焚きを行った平成八年一月までの間、前記共謀は解消されていなかったことが認められる。

四  関係証人の供述の信用性について

1 一林の供述の信用性について

まず、宝冠堂で本件各釜焚きの行為を行うまでの経過などに関する一林の供述は、具体的で迫真性もあり、また、その内容も、千葉県で被告人と知り合って次第に被告人の言うことをそのまま聞き入れるようになり、青森では被告人に言われて薬剤師として宝冠堂薬局で働く中で、客に対し霊視によって対価を得るようになり、その後被告人から釜焚きのやり方を教示されて本件各詐欺に至ったという自然かつ合理的なものであり、さらに、宝冠堂での役割や被告人との関係に関する弁護人の反対尋問に対しても率直に供述している。その上、一林の供述は、笹、田村康幸、菊地及び岩本直樹ら関係人が供述する釜焚きや霊視に関する被告人の関わり及び関係三社における被告人の地位などについての内容と概ね符合するものであり、一林供述の信用性を裏付けている。すなわち、被告人が釜焚きを一林に教えた状況や釜焚き代金を本家に持参した点についての供述が合致していることはもちろん、アクティブや宝船の重要な決定を被告人が行ったこと、当時被告人の宗教の信者であった眷属の者らに対し、被告人が指示をして仕事をさせたこと、これらの者らが関係三社の売上金を被告人がいる本家に持参していたことなどの点は、一林の供述する被告人が宝冠堂の場所、店長らについての重要な決定をし、売上金を被告人のいる本家に持参するという関係と極めて酷似した状況について述べている。

また、一林は、本件で逮捕された当初は、被告人をかばって被告人の本件への関与を否定し、その後、捜査段階の中途から被告人との共謀についての供述を始めたものであるが、その理由は、父親と面会して、潔く罪を認めて親孝行をしたいなどと考えたというごく自然な内容であり、その他ことさらに一林が被告人に対して悪意を抱いているといった事情も認められない。

2 一林の供述の信用性に関する弁護人の主張について

弁護人は、〈1〉一林は、昭和六三年一〇月頃から一〇回程篠崎州宏と共に香港に旅行し、香港の業者と組んでクレジット会社から金を騙し取る、酒場でけんか騒ぎを起こすなどしているが、被告人のところに毎日のように通っていた旨供述する一林の供述と合致しない、〈2〉一林は一流のクレジット会社が発行するカードを複数有しており、これを利用して香港で商品を購入し、高級クラブで飲食するなどしているが、これらは一林に相当の収入がなければできないはずであるから、篠崎薬局で働いていたころから逮捕される平成八年三月までの間、収入をほとんど得ていない旨の一林の供述は到底信用できない、〈3〉一林は、篠崎薬局に勤めていた際にムスタングという外国車を五年くらいのローンを組んで購入して使用したり、千葉県印旛郡富里町に土地二筆を購入したりしているが、平成八年三月に逮捕されるまでの約八年間右代金の借入債務の返済をしてきていることから、これらも一林が相当の収入を得なければできるものではない、〈4〉一林は、中古のレンジローバー、ポルシェ及びベントレーといった自動車並びに浪切八世号という船舶、浪切Ⅴ世夜冬丸という船舶及びヤンマーFM33号なる船舶を所有していたが、これらの取得費用を一林がどのように支出したか不明である、〈5〉一林は、青森市大字石江字岡部一五七番一〇と同番一五の土地を取得して住居を建築しているが、その購入資金として、北奥羽信用金庫から、右物件を抵当にして二一五〇万円の融資を受けており、また、平成八年二月に株式会社宝冠堂の代表者として、右各物件を抵当に入れて株式会社商工ファンドから七〇〇万円を借り入れているが、これらは、一林が右各不動産の所有者かつ株式会社宝冠堂の法律上の代表者であることの証左である、〈6〉一林は、平成九年六月頃、数回、青森に来た上、本家に侵入して建物内部に取り付けられた動産約二三点を無断で持ち出し、青森市内のリサイクルショップに売却し、弁護人が証人申請を予定していた赤石憲彦を脅迫して、赤石が弁護人からの証人依頼を辞去せしめ、逮捕直後に洞内紫を介して宝冠堂の在庫商品をほとんど一林の父親が経営する「まこと薬局」に送付し、五戸栄子に対する被告人の損害賠償事件に関して偽証をする等の不当な行動を繰り返しているなどとして、一林の供述が全く信用できない旨主張している。しかしながら、弁護人の右主張は、以下のとおり、採用することができない。

まず、弁護人主張の〈1〉について、一林が業者と組んでクレジット会社から金を騙し取ったとか、けんか騒ぎを起こしたなどの事実を認めることはできない(これに沿う被告人の供述(第四〇回公判調書中の被告人の供述部分)もあるが、直ちに信用することができない)上、一林も香港に旅行していること自体は率直に認めているから、右供述は、香港旅行中を除いて、薬局の営業をした後にほぼ毎日被告人のところへ行っていたとの趣旨であることは明らかである。

弁護人主張の〈2〉について、右主張のとおり、一林はクレジットカードを何枚か保有していた上、眷属の女性以外で、被告人が主宰する宗教の中で被告人に次ぐとも言える地位にあった一林がほとんど収人を得ていなかったと供述する部分は、宝冠堂薬局に勤めて一林と同棲するなどしていた洞内紫が一林から小遣いをもらっていた旨供述している点に照らしても、にわかに信用することができない。しかし、本件では、一林が宝冠堂の営業の中で行った各詐欺について被告人の関与があったか、宝冠堂の営業や売上げについての被告人の関与があったかが重要なのであって、一林が宝冠堂の売上げから収入を得ていたか否かについて右のような多少不自然な部分があるとしても、売上げのほとんどを被告人に渡していたとする一林の供述と内容において矛盾を来たすわけではなく、一林の供述の信用性が全体として否定されるものではない。

弁護人主張の〈3〉、〈4〉について、確かに、千葉県印旛郡富里町四五九番八及び同番二〇の宅地の所有者名義人が一林名義となっており、右宅地取得資金について、ダイヤモンド信用保証株式会社から一林名義で二五六〇万円の借入がされていること(弁一二〇、一二一)、一林がムスタングという車を使用していたこと、レンジローバー(弁七四)、ポルシェ(弁七七)及びベントレー(弁七八)の各自動車並びに浪切八世号(弁八〇)、浪切V夜冬丸(弁八七)等の所有名義が一林とされていることが認められる。しかし、千葉における右土地の取得の経過等が明らかでなく、千葉に一林がいた当時の財産状況について多少明らかでない部分があるとしても、そのことによって、青森に来てからの生活に関する一林の供述の信用性が左右されるものではない。そして、右車両等の各所有名義等が一林とされていることについても、そのことから直ちにこれらを一林が実質的に所有していたことが推認されるわけではなく(反対に、一林はこれらが被告人の所有である旨供述しており、笹及び田村康幸もこれに沿う供述をしている。)、前記のとおり一林は眷属の女性以外の被告人の関係者の中では被告人に次いで地位が高かったのであるから、関係三社その他からの金銭などで購入されたと推認されるこれらの車両などを一林が多少利用したことが窺われる(第三三回公判調書中の証人田村文人の供述部分)としても何ら不自然なところはなく、被告人が青森で船釣りなどをしていたこと、被告人が青森で本名を名乗らずに、船舶を所有するなどしていたが、被告人名義の車両や船舶の存在が認められないことに照らすと、この点からも一林の供述の信用性は左右されない。

また、弁護人主張の〈5〉についても、一林名義の右不動産の購入に際し、被告人が不動産業者に「自分の家の左隣にある宅地とその裏にある建売住宅を買いたいが、買主を一林さんとして契約したい」等と話して、赤石憲彦名義の小切手を渡すなどしていることが認められる(甲六二)上、一林が本家のほうに引っ越して来たのは、被告人が青森を去った平成七年一二月ころのことであること、右不動産を担保とした借入の経過や一林の関与の程度などは不明であることに照らすと、〈5〉の点も、一林の供述の信用性を左右するものではなく、宝冠堂の運営について被告人の意向が反映されていたか否かについての前記認定を左右するものではない。

弁護人主張の〈6〉についても、一林が、本件事件で逮捕された後洞内紫に命じて宝冠堂薬局の商品を一林の父親が経営する薬局に送っていたり、本件についての刑事判決後に、本家から家具等を持ち出して換金するなど不穏で好ましくない行為を行っていることが認められるものの、千葉県で知り合って以降被告人の指示に沿って働いた結果、一林が実家の援助を受けるなどしてかなりの私財を投じており、本件の被害者らのためにも父親の助力を受けて被害弁償の措置を講じようとしたというのであるから、右一林の行為は被告人が本件各詐欺に関わっていたとする供述と矛盾するものではなく、このような行為に一林が出たことをもって、一林の供述の信用性が否定されるものではない。

また、被告人は、一林が被告人が神仏を降ろした直弟子である篠崎又は芳谷から神仏を降ろしてもらっている孫弟子に当たるから、被告人が一林に対して命令などするはずがない旨主張する。しかし、前記のとおり、一林、岩本、菊地らは、関係三社でいずれも夜遅くまで働いていた上、毎日のように本家に通って売上金を伝票等と共に持参して報告していたのであり、このこと自体からも被告人の一林らに対する強大な影響力が認められるところであって、直弟子ではないことをもって端的に被告人の一林への指示などあり得ないとする右被告人の主張は採用できない。

3 一林以外の関係人の供述に関する弁護人の主張について

弁護人は、一林の供述と符合する内容の供述をしている笹らの各供述がいずれも信用することができないとして、諸々の点を指摘している。

(一) 笹の供述について

宝冠堂薬局及び古川宝冠堂薬局の開設・営業の一部やアクティブの釣具屋の経営等に携わった笹について、弁護人は、笹が月額五〇万円の高給を得て、トヨタクラウンマジェスタという高級車を乗り回していたから、笹が供述する被告人の奴隷(眷属)であったということや財産がすべて被告人のものであったということと符合しないとか、平成四年一二月、青森市大字石江字岡部一五七番地二三の土地及び建売住宅を購入して、右物件に抵当権を設定し(弁一七、一八)、その後右不動産についての所有権移転登記、賃借権の設定登記等がされているが、これは被告人が右不動産等を所有していると供述していることと符合しないなどと主張している。

しかし、笹が宝冠堂薬局やアクティブ等で働いていた間に継続的に月額五〇万円の収入を得ていたとは認められない上、第二二回公判調書中の田中崇輝の供述部分及び佐々木達也の司法警察員に対する供述調書(甲六二)によれば、右不動産購入の際、被告人が菅井保基と名乗って立ち会い、業者に対し「もう一つ住宅を買いたいから自宅まで来てくれ。」等と言っており、業者に対して話をしたのは専ら被告人であったことが認められるから、右不動産の購入は、被告人の意向が強く反映されたものであることは明らかであって、何ら笹の供述の信用性を疑わせるものではない。そして、薬剤師でもなく、薬局経営の知識・経験もない笹が被告人から言われて古川宝冠堂薬局を経営しようとしたとの笹の供述も、笹が被告人から神様降ろしの儀式を受けるなどして被告人のところへ通っており、被告人から強い影響を受けていたと認められることからすれば不自然なものではなく、眷属とは被告人の奴隷であるとする笹の供述も、右のように被告人から宗教的な儀式などを通して笹が被告人から強い影響を受けていたとの趣旨をいうものと解されるのであって、何ら不自然な点はない。

また、弁護人は、笹がアクティブ経営にかかる釣具店の店舗の在庫を売りさばいた額が莫大になるなどと主張するが、笹は、給料などの支払を受けていなかったことから商品を売却して自己の給料などに当てたと率直に供述しており、売却処分した合計額が莫大であったことを裏付ける証拠もない。

さらに、弁護人は、笹が被告人と知り合った当時に以前の勤め先から業務上横領をしたとして懲戒解雇されたことや浅虫水族館で釜焚きを行って二〇万円程を受け取っていることなどの点を指摘するが、これらの点を考慮するとしても、笹の供述の信用性や前記認定を何ら左右するものではない。

(二) 田中康幸の供述について

アクティブの業務などに関わった田村康幸について、弁護人は田村康幸が、外車を乗り回す、朝からパチンコをする、勝手に女性と仙台に行くなどしていた上、平成七年一〇月頃から、船、自動車、不動産等について様々な工作を重ねている(弁三二)から、被告人の奴隷で逆らえなかったなどという田村康幸の供述は信用できないなどと主張し、被告人も、右田村が本家に侵入して電気製品などをトラックで持ち出したり、一林名義の船舶二艘を書類を偽造して盗んでいることなどについて指摘する。

しかしながら、田村康幸自身が、外車があったり、高そうな物があったりとかこういう生活ができればよいと思った旨供述するとおり、同人が被告人の指示により様々な仕事をして働いていたのは、宗教に通じた被告人を信奉していたというよりも、むしろ社長になるなどの自己の利益を得ることを目的として被告人に従えば希望が叶うと考えていた面が強かったものと認められる。とすれば、アクティブ設立以来三年以上経過した平成七年一〇月以降、本家から電化製品などを持ち出したり、船舶の所有名義を自己に移すなどの自己を利するような不穏な行動を取っていたとしても、被告人と一林の関係及び一林が釜焚きの代金を被告人の下に届けていたこと等に関する田村康幸の供述の信用性が否定されるものではない。

(三) 菊地の供述について

本件被害者の一人で宝船の経営に関わった菊地について、弁護人は、菊地が視野狭窄症を患っていた福原清勝に対し、目の病気が治ると信じ込ませて、キチンキトサンを約一〇三万円で売付け、この際、バイクを購入したことにして右福原にセントラルファイナンスとのクレジット契約を締結させる詐欺を行ったものであり、したがって、このような菊地の供述は信用できない等と主張している。

確かに、菊地がキチンキトサンを高額で福原に対して売却するなどしたことは認められる。しかし、菊地が右福原に対しキチンキトサンを売り付ける勧誘をしたのは福原が宝冠堂に来る前のことであって釜焚きとは直接関係なく、福原が釜焚きの対価として四五万円の現金を支払ったことは明らかであること(第二八回公判調書中の証人福原清勝の供述部分)、一林が菊地に対して本件詐欺を行ったりしたのは、平成六年五月ないし七月にかけての菊地が福原に右商品を売り付ける前のことであり、一林からの欺罔を受けた経緯などについての菊地の供述が具体的なものであることに照らすと、右のことで菊地の供述の信用性や同人及び福原に対する本件詐欺罪の成否が左右されるものではない。

また、弁護人は、菊地が一林と共に宝船を設立してその代表取締役に就任し、宝船の放漫経営をしていたから、菊地の述べる被告人の奴隷であるという点と合致しない等と主張しているが、菊地は本家で行われたという投票により、宝船の代表取締役の地位を追われているところ、そもそも宝船の店長等の関係人らが、その投票により代表取締役の地位を追うことができると認識していること自体、真実菊地が宝船の経営の実権を有していなかったことを強く推認させるものであるのみならず、右投票の前に、被告人が「菊地さんを辞めさせたい、社長を佐藤君にしたい」などと話をし、結果的に佐藤が多くの票を獲得したことが認められ(第二九回公判調書中の佐藤徳光の供述部分)、宝船の経営を被告人の指示で始めたなどとする菊地の供述は、一林の供述とも合致しているところであって、全体としての菊地供述の信用性を左右するわけではない。

(四) 岩本の供述について

本件被害者の一人で、宝船の店長等をしていた岩本について、被告人は、岩本が稲川会系の暴力団の関係者としてやくざのイベントを引き受けてやっていたことや岩本が宝船の機械一店舗分を持っていったなどと供述するが、弁護人の反対尋問に対し、暴力団の関係で仕事をしていたことや宝船の店舗内の機械の一部を持ち出したことを率直に岩本が認めていること、一林から欺罔を受けた点等についての供述内容は具体的かつ迫真性を有するものであること、岩本は、宝船で働くに当たって約束された賃金を十分に受け取れなかったばかりか、雇っていたアルバイト従業員の給料にも事欠いていたことなどに照らすと、岩本の供述の信用性は何ら左右されない。

(五) 鳥谷部の供述について

弁護人は、証人鳥谷部郁子の供述の信用性について云々主張し、同人と被告人との間の民事裁判関係の証拠などを提出しているが、前記認定を何ら左右するものではない。

五  本件騙取金の使途、本件騙取金を含む宝冠堂の売上金及び被告人の一林らへの影響力などに関する弁護人の主張について

1 弁護人は、本件のような多額の金を騙し取ったのであれば、その金の流れが証拠によって解明されなければならないのに、本件では騙取金の具体的使途が明らかにされていない旨主張し、被告人も「一林に銀行の通帳に入金してくれという事で受け取り、毎日家に来る銀行の集金係に、宝冠堂、宝船、アクティブいずれかの通帳に入金していただけです。」等と述べている。

確かに、一林の供述ほか本件で取調べ済みの関係各証拠を子細に検討しても、本家に持参された本件騙取金の具体的使途などは明らかではない。しかし、騙取金の使途について解明されていないことが、金銭を被害品とする詐欺罪の成否を直ちに左右するものではない。そして、被告人は、本件との関係を否認し、したがって、一林から受け取った本件被害金を含む宝冠堂の売上については、前記のように述べているのみであること及び宝冠堂に対する税務調査に対して被告人が協力を拒んだという本件の特殊性からすると、騙取金の具体的使途が解明されていないことは、本件各詐欺の成立を妨げる理由には到底なりえないものである。

2 また、弁護人は、各店舗の売上金は毎回、メモや伝票等と一緒に各店舗から上がり、それを金融機関の布袋に入れて銀行などに入金されていた旨主張し、被告人も、宝冠堂の営業が夜中の一一時、一二時くらいまであり、銀行への入金が困難になったことから、一林から入金を頼まれたなどと供述し(第四一回公判調書中の被告人の供述部分)、これに沿う証拠(第三七回公判調書中の証人田村昭子の供述部分等)もある。

しかし、宝冠堂薬局が青森市の中心地にあって、銀行の社員などが集金に来るのは容易であり、また、夜間金庫の利用にも不便でないことに照らすと、一林の都合により同人に依頼されたから宝冠堂の売上金を被告人が受領していたとする被告人の供述は到底信用できない。そして、本家に持参された売上金の一部が関係三社の経費などに充てるために銀行などに預け入れられたことが窺われる(宝冠堂薬局の経費などの大部分が手形小切手で支払われていたことに照らすと、本家に集められた関係三社の売上金のうちの一部が右手形小切手の当座預金口座等に預けられていたものと認められる。)としても、本家に持参された金員を田村昭子らが管理し、被告人の眷属である金井春美及び田村昭子が手形小切手の振出しをしていた(被告人自身も認めている。)ことに照らせば、宝冠堂を含む関係三社からの売上げを被告人が支配下においていたとの認定を何ら左右するものではない。

3 さらに、弁護人は、田村義弘が被告人に対しアクティブの設立に際して一〇〇〇万円を貸し付けたとして右貸金の返還等を求めた民事訴訟の判決理由中に「被告(被告人)が原告(田村義弘)及びその家族に対し、主宰する宗教によって強い影響力を有していたことは窺われるが、設立された会社については、原告の次男らによって一定の営業活動が行われていた事実が認められ、被告が事実上の代表者であったとまで認めるに足りる証拠」はないとする判断があることや関係三社の代表取締役、取締役などに被告人の名前が一切なく、株式なども所有していないことから、被告人が関係三社の実質的経営者ではあり得ないなどと主張し、被告人も「仕入、支払、通帳の名義も全部一林で、まして無断でお金の出入は一切できない」、「宝冠堂と宝船は一林の会社ですから、すべて一林が九〇%以上の株主になっている」、「アクティブは田村家の会社で私は一切経営というものに関わっていません」などと供述する。

しかし、本件と証拠関係を全く異にする右民事訴訟の帰趨によって本件での一林と被告人の関係や宝冠堂と被告人との関わりに関する認定に何らの影響を与えるものではない上、本件では、宝冠堂の営業の一環として行われた本件詐欺に被告人がいかに関与し、また、実行行為を行った一林に対し被告人がどのように影響を及ぼしていたかが重要なのであって、関係三社の経営者が誰であるかについて判断するまでもなく、前記のとおり被告人が宝冠堂に関する重要な決定をし、一林や関係三社の運営やそこで働く眷属らに対して強大な影響力を有していたことは明らかである。

4 また、被告人らは、一林は被告人が神仏を降ろした直弟子である篠崎又は芳谷から神仏を降ろしてもらっている孫弟子に当たるから、被告人が一林に対して命令などするはずがない旨主張する。しかし、前記のとおり、一林、岩本、菊地らは、関係三社でいずれも夜遅くまで働いていた上、毎日のように本家に通って売上金を伝票等と共に持参して報告していたのであり、このこと自体からも被告人の一林らに対する強大な影響力が認められるところであって、直弟子ではないことをもって端的に被告人の一林への指示などあり得ないとする右被告人の主張は採用できない。

5 なお、田村文人は、自分自身で生活を営んでいるなどとして、被告人から精神的な脅迫を受けているわけでもないから、被告人から支配はされていない旨供述する(第三三回公判調書中の田村文人の供述部分)が、田村文人は、本件の発生前から被告人の眷属であって右証言時においても被告人の眷属であり、被告人のことを「お不動様」などと呼称していること、田村文人自身が「被告人を中心にみんな集まっていた」、「中心になっている被告人に金を渡した」旨供述していることに照らせば、右田村の供述は、一林ら眷属に対して、被告人が強大な影響力を有していたとの右認定を左右するものではない。

六  結論

以上検討したとおり、被告人は、一林と共謀の上、本件各詐欺を行ったものと認められるから、一林と共謀したことはない旨の弁護人らの主張は採用できない。

第二  クレジット契約に関する弁護人の主張について

弁護人は、本件起訴にかかる公訴事実中、青森日商連が立替払いしたクレジット代金分については犯罪を構成しないものとして公訴棄却の判決を下すべきである旨主張する。すなわち、本件の各クレジット契約では山王清心丸などという漢方薬を購入したことになっているが、いずれも商品の引渡しがないから、契約は成立しておらず、立替払いはできないはずである。また、契約者は宝冠堂薬局から山王清心丸の引渡しを受けていないから、支払停止の抗弁権を行使できたはずである。それにもかかわらず各被害者が右抗弁権を行使しないのは、各被害者が青森日商連を騙して偽りの契約をした詐欺犯罪の当事者であるからである。このように、詐欺の被害者が実は当該騙取金の詐欺犯なのであるから、その限りにおいては、公訴が棄却されるべきであるなどと主張している。

しかしながら、関係各証拠によれば、一林が釜焚きをすれば確実に病気が治るなどと事実に反することを各被害者らに述べて、これにより各被害者が釜焚きを受ければ病気などが治るとの錯誤に陥り、代金を現金で支払うことが困難であったことなどから、一部の被害者が一林に勧められるまま釜焚きの代金支払の方法としてクレジットを利用すればよいと考えたことは優に認定できるところである。そして、右被害者らは、一林に支払うための代金を信販会社に立て替えさせて、薬代の名目で信販会社に債務を負担したのであって、かかる場合に各被害者らがクレジット会社に債務を負担することによって信販会社に立替払いさせた金員が詐欺の被害に該当することは明らかである。したがって、弁護人の前記主張は採用できない。

(法令の適用)

被告人の判示所為中、別紙犯罪事実一覧表記載の番号一ないし一三、一五ないし二七、二九及び三〇の各所為はいずれも平成七年法律第九一号附則(以下「改正法附則」という。)二条一項本文により同法による改正前の刑法(以下「改正前の刑法」という。)六〇条、二四六条一項に、同表記載の番号一四、二八及び三一ないし三六の各所為はいずれも右改正後の刑法六〇条、二四六条一項にそれぞれ該当するが、以上は改正法附則二条二項により改正後の刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い同表記載の番号三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役六年六月に処し、改正法附則二条三項により改正後の刑法二一条を適用して未決勾留日数中五〇〇日を右刑に算入することとし、訴訟費用については刑事訴訟法一八一条一項本文により全部被告人に負担させることとする。

(量刑の理由)

本件は、金井宗などと称する宗教を主宰している被告人が、弟子で薬剤師である一林克昌と共謀の上、難病を患うなどの悩みを抱えて薬局に来た合計三七名の被害者らに対し、釜焚きをすれば必ず病気などがよくなるなどという詐術を用いて、約三年間に前後三六回にわたって合計四七〇〇万円余りの金銭を騙し取ったという事案である。

被告人は「病気で長年患っている方は幾ら金を積んでも治りたい、一番釜焚きをやりやすい」などと考えて、一林に釜焚きの方法を指導して、本件に及んだというものであり、難病を患うなどして苦しむ被害者らから金銭を騙し取ろうと決意したこと自体厳しい非難に値し、その動機が被告人が詐欺により被害者らの財産を貪ろうとしたことにあるのは明らかであって、何ら酌むべき点はない。犯行の態様を見ても、本人又は家族が癌、自律神経失調症、パーキンソン氏病、難治性脱毛症などの重大な病気を抱えて深刻に悩んでいて、藁をもつかむ心境で被告人らを頼ってきた被害者らに付け入り、霊障があるなどという脅迫めいたことを告げて、いかにも釜焚きが被害者らの抱える問題を解決してくれるかのように信じ込ませて各被害者から多額の金銭を騙し取ったという狡猾かつ悪質な犯行であり、かつ、一連の犯行は、宝冠堂薬局の営業の一環として、青森市の中心部に位置する薬局の店舗内で三年近くの長期間にわたって繰り返し行われたという大胆で悪質なものである。そして、一林は、釜焚きの対価と称してかなり執拗に請求するなどしており、現金を用意できない者に対しては、薬代の名目でクレジット契約を締結させるなどしてまで金銭を騙し取ったものである。実際には何ら病気などを治癒する効果がない釜焚きによって多額の金銭を騙し取る行為が、宗教的行為などという名の下に許容される余地がないことは論を待たず、病気などに思い悩んでいた被害者らには特段の落ち度は認められない。個々の被害者の被害額は最低でも一五万円で、被害合計金額は四七〇〇万円余りと高額に上っており、財産的被害の結果も重大である。本件は、難病を患うなどの苦しみを抱えた被害者らに、判示のとおり多額の財産的な損害を負わせたのはもちろん、釜焚きには病気などを癒す効果がないことを知った被害者らに与えた喪失感や絶望感も軽視できず、被害者らが被告人に対する厳重な処罰を希望しているのは当然である。

被告人は、絶対的ともいえる宗教上の立場を利用して、一林に対して釜焚きを行って薬局に来た客から金銭を騙し取ることを具体的に指示して本件犯行を持ちかけており、その意味で釜焚きという一見宗教的な儀式に見せかけた本件詐欺は、被告人の存在なしには起こり得なかったものである。その上、被告人は、釜焚きを始めた一林に対して釜焚き等の売上げをさらに上げるように強く働きかけるなどしており、ここまで被害が甚大になったのもそのような被告人による働きかけの結果であって、本件において中心的な役割を果たした被告人の責任は重大である。このように自ら本件を主謀して中心的な役割を果たしているにもかかわらず、被告人は、一林が勝手にやったことであるなどと不合理な弁解を弄して本件への関与を全面的に否認しており、謝罪はおろか一切の反省の態度すら見せていない。以上のことを考慮すると、被告人の刑事責任は甚だ重いといわねばならない。

他方、共犯者である一林の判断で、被害者らに対し合計三〇〇万円の被害弁償がなされていること、被告人は、今後釜焚きの儀式はしない旨供述していることなど被告人に有利な事情も認められる。

以上の諸事情を総合考慮の上、主文のとおり刑の量定をした。

(検察官大橋充直、私選弁護人石橋忠雄各出席)

(求刑 懲役七年)

別紙犯罪事実一覧表

番号 欺罔行為 詐取

平成年月日(ころ) 被欺罔者 場所 欺罔文言 平成年月日(ころ) 場所等 詐取金額等

一 自五・二至五・四中旬 葛西秀子 青森市古川一丁目一五番一〇号宝冠堂薬局 釜焚きならお父さんの病気を早く治すことができる。釜焚きの代金は一回二〇〇万円だ。釜焚きを受けないと間に合わないかもしれない。私は以前東京で大先生に病気を治してもらったことがある。釜焚きは大先生がやる。釜焚きをやれば、お父さんの病気は必ず治る。今すぐにでも釜焚きを受けた方がいい。早く釜焚きをやらないと手遅れになる。 五・五中旬 上記宝冠堂薬局 現金一五〇万円

二 自五・三中旬至五・一一・二二 葛西 晋 右同 あなたの守護霊、守護神が地獄にいて上がってこない。すぐに仏を地獄から上げるためには、釜焚きをやらなければならない。守護霊、守護神が上がっていないから、あなたの病気が治らないんだ。釜焚きをやれば病気は治る。すぐに釜焚きをやらなければ駄目だ。釜焚き代は本当は一三〇万円かかるんだ。釜焚きは二~三回やらなければいけない。 五・一〇・一八 右同 現金一三〇万円

五・一〇・二一 右同 現金五万円

自五・一二・二九至七・三・三一(前後一五回) 右同 現金合計七五万円

番号 欺罔行為 詐取

平成年月日(ころ) 被欺罔者 場所 欺罔文言 平成年月日(ころ) 場所等 詐取金額等

三 自五・五・一六至五・一一・七 宇野民人 青森市古川一丁目一五番一〇号宝冠堂薬局 お嬢さんの目は先祖の霊が取り憑いているためにかかった病気です。先祖の霊を取り除かなければ病気は治らない。霊を取り除くためには釜焚きをしなければなりません。釜焚きをすればこの病気は絶対治ります。ただ釜焚きには四二〇万円かかります。でも三〇〇万円でやってあげます。奥さんの先祖の霊水子の霊を成仏させなければならない。そうしなければ娘さんの病気はよくならない。そのためにはもう一度釜焚きを行わなければならない。この釜焚きには一〇〇万円かかる。この釜焚きを受けることで病気は絶対に治ります。 五・五・一九 上記宝冠堂薬局 現金二三〇万円

五・七・二 右同 現金七〇万円

五・一一・七 右同 現金四〇万円

五・一一・二二 青森市松原一丁目一六番二一号株式会社青森銀行志功館前支店宝冠堂薬局笹孝之名義普通預金口座 クレジット契約による振込入金八九万一〇〇〇円

番号 欺罔行為 詐取

平成年月日(ころ) 被欺罔者 場所 欺罔文言 平成年月日(ころ) 場所等 詐取金額等

四 自五・七・一〇至五・一二中旬 村瀬美津子 青森市古川一丁目一五番一〇号宝冠堂薬局 息子さんの首と背中と胸に、地獄で苦しんでいる先祖の霊が憑いている。あなたの先祖の中で、首で苦しんで死んだ人がいるはずだから、供養しないといけない。釜焚きを受ければ、地獄で苦しんでいる先祖の霊が成仏して息子さんに憑いているその先祖の霊が取り除かれ、息子さんの後遺症が治ります。三〇万円でやってあげましょう。釜焚きの代金はあくまでも現金一〇〇万円ですが、現金で全額払えないということであれば、とりあえずその金額で釜焚きをやってあげるということであって、残りは借金になりますよ。釜焚きを一回やっても成仏しない霊については、さらに釜焚きをやって成仏させるんです。息子さんの病気を早く治すためには、まだ成仏していない霊を早く成仏させなければならないのです。 五・七・二三 上記宝冠堂薬局 現金三五万円

五・一二・六 右同 現金一〇万円

五・一二・二〇 青森市松原一丁目一六番二一号株式会社青森銀行志功館前支店宝冠堂薬局笹孝之名義普通預金口座 クレジット契約による振込入金二九万七〇〇〇円

六・七・一一 右同 クレジット契約による振込入金二九万七〇〇〇円

番号 欺罔行為 詐取

平成年月日(ころ) 被欺罔者 場所 欺罔文言 平成年月日(ころ) 場所等 詐取金額等

五 五・七上旬 工藤明美 青森市古川一丁目一五番一〇号宝冠堂薬局 自律神経というのは、九〇パーセント以上が霊の障りなどから起きてくるから、供養しなければいけない。あなたが具合が悪くなる前に、主人とかに何らかの形で教えているはずだ。あなたが供養しなければ、あなたの大事なものに子供達とか主人とかに霊がつきますよ。釜焚きすれば必ず治ります。一番効果的なのが釜焚きだ。一生懸命お金を作ろうとしている姿が見えるので、じゃ三〇万でやってあげましょう。 五・七・二〇 上記宝冠堂薬局 現金三〇万円

六 自五・八下旬至六・二・二〇 武田千博 右同 娘さんの病気の原因は、先祖の霊や水子の霊が憑いていて、その霊が成仏できないでいるためだ。釜焚きをすれば除霊できる。病気を治すには釜焚きをやって除霊しなければならない。ただ娘さんの場合は霊が取りにくいので、三、四回は釜焚きをしなければならない。釜焚きの代金は、釜焚き料が一回一〇〇万円で施餓鬼供養料が一〇万円で、合計一一〇万円だ。 五・一一・三 右同 現金二〇〇万円

五・一二・二三 右同 現金五〇万円

六・一・一五 右同 現金一一〇万円

六・二下旬 右同 現金五〇万円

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七 五・九・三〇 滑川優子 青森市古川一丁目一五番一〇号宝冠堂薬局 お父さんに先祖の仏や霊が憑いています。先祖の仏や霊は成仏していません。お父さんが肺癌になったのも先祖の仏や霊が憑いて成仏していないからです。お父さんの病気を治すには先祖の霊や仏を外すことです。先祖の霊や仏を外すには釜焚きが必要です。釜焚きを受ければ霊や仏が成仏し、お父さんの肺癌も治ります。釜焚き一回で車一台買うくらいのお金がかかりますが、絶対に効果はありますよ。 五・九・三〇 上記宝冠堂薬局 現金一〇〇万円

八 自五・一一至六・五・三〇 土岐宏子 右同 先祖の霊が土岐家を潰そうとしている。跡取りを苦しめている。この子は、このまま黙っておけば一八歳まで生きていても跡を継げる状態にはならない。円形脱毛症はそれを先祖が教えている。それをあなた達は気づいていないだけだ。先祖の霊を取り除いて成仏させなければいけない。霊を取り除くためには釜焚きをしなければならない。あなたの所の霊は低く、上に上がれないでいる。先祖の霊が地獄にいる。 五・一一・二一 青森市古川一丁目一七番二一号古川宝冠堂薬局(笹孝之を介し) 現金一〇〇万円

六・五・三〇 上記宝冠堂薬局 現金五〇万円

六・五・三一 右同 現金五〇万円

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九 自五・一二上旬至六・一〇・九 千葉友子千葉武人 青森市古川一丁目一五番一〇号宝冠堂薬局 先祖の霊が何億もいるのだから釜焚きを一回やっただけでは取り除けない。釜焚きを続けることによって先祖の霊が成仏し、あなたの病気が必ず治ります。一回釜焚きを受けて止めれば目を覚ました先祖の霊が怒ってどんな悪いことが起きるか分からないので、続けて釜焚きをやらなければならない。 五・一二・三〇 青森市松原一丁目一六番二一号株式会社青森銀行志功館前支店宝冠堂薬局笹孝之名義普通預金口座 クレジット契約による振込入金二九万七〇〇〇円

六・一・一一 上記宝冠堂薬局 現金五〇万円

六・六・二〇 青森市松原一丁目一六番二一号株式会社青森銀行志功館前支店宝冠堂薬局笹孝之名義普通預金口座 クレジット契約による振込入金四九万五〇〇〇円

六・六・二四 上記宝冠堂薬局 現金六〇万円

六・一〇・九 右同 現金一二〇万円

一〇 自五・一二上旬至六・五中旬 遠藤きよ子 右同 あなたにはまだ沢山霊が憑いているから釜焚きをして除霊しなければ病気が治らない。釜焚きをすればあなたの肩凝りや身体の痛みが治る。釜焚き代は一三〇万円で、供物代が五万円の一三五万円かかる。まだ霊が全部取れないから通いなさい。まだまだ霊が憑いているので釜焚きを受けなさい。 六・二・九 右同 現金一三五万円

六・五・三一 青森市松原一丁目一六番二一号株式会社青森銀行志功館前支店宝冠堂薬局笹孝之名義普通預金口座 クレジット契約による振込入金九九万円

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一一 自五・一二至六・六下旬 佐藤千晶 青森市古川一丁目一五番一〇号宝冠堂薬局 あなたの体に水子の霊が憑いています。あなたの守護神、守護霊が下の下の方にいて上のの方に上がってこれない。釜焚きを受ければ、守護神、守護霊が上がって、それが下がらない。守護神、守護霊が上がって下の方に下がってこなければ、病気とか彼氏のこととか何でもそれ以上悪くならない。釜焚きをやっていれば良くなる。本当は一三〇万円掛かるんですけれどもあなたは三〇万円にしてあげます。取りあえず三〇万クレジットを組んで、それである時にまたお金を持ってくればいい。 六・七・二〇 青森市松原一丁目一六番二一号株式会社青森銀行志功館前支店宝冠堂薬局笹孝之名義普通預金口座 クレジット契約による振込入金二九万七〇〇〇円

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一二 六・三・四 葛西徳秀 青森市古川一丁目一五番一〇号宝冠堂薬局 あなたが手をあげたりする状態になるのは先祖の悪霊や水子の霊が憑いているからだ。その霊のために、これまで腰が悪いんだ。霊を除霊しなければいつまでも腰が治らない。釜焚きをやって除霊する必要がある。釜焚きは一回一〇〇万円かかる。釜焚きをやって必ず悪い腰を治してやる。 六・三・五 上記宝冠堂薬局 現金五〇万円

一三 六・三・五 柴田厚子 右同 病気は先祖の霊や水子の霊などの霊障によって起こるものです。女性には誰でも水子の霊が憑いています。それを取り除かなければ病気は治りません。霊を取り払うのは、釜焚きを受けるのが一番いい。釜焚きには一回一〇〇万円かかるが、病気は絶対治ります。 六・三・七 右同 現金二〇五万円

一四 六・四 小笠原重志 右同 厄年は一応四二歳だけども、まだあなたは厄の期間中です。その厄のせいでいろいろな災いが起きている。私は薬剤師をしており、また病院にも勤めたことがある。あなたの病気などは現代医学では絶対に治せない。しかし、私なら絶対治すことができる。絶対に治してみせる。他の人も治して助けている。釜焚きをする。釜焚きをするには車一台が買えるくらいの金がかかる。大体一二〇万円くらいかかる。 六・五中旬 右同 現金五〇万円

七・三・三一 青森市古川一丁目一五番一一号北奥羽信用金庫古川支店宝冠堂薬局笹義普通預座 現金(振込)三〇万円

七・八・二二 右同 現金(振込)一〇万円

七・一二・二九 上記宝冠堂薬局 現金(電信為替)二五万円

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一五 六・四下旬 米谷蘭子 青森市古川一丁目一五番一〇号宝冠堂薬局 釜焚きをやれば、あなたの病気は完全によくなります。私が治してみせます。釜焚きをやらないとあなたばかりではなく、米谷家の人々が不幸になりますよ。あなたの病気が悪性だったらどうするんですか。釜焚きは、一回につき一三〇万円するが、一回やってみれば驚くほど身体の具合が良くなります。 六・四・二九 上記宝冠堂薬局 現金一五万円

一六 自六・五・二至六・五・六 横山ユキ子 右同 見てすぐ分かりました。あなたを見ていると、そういうふうに見える。あなたには水子の霊が憑いている。それにあなたの守護神が地獄の下にいて上がれないでいる。それを上げてやらなければあなたの病気はよくならない。釜焚きをやればどんな病気でもよくなる。なかなか霊が取れない。霊が憑いているからもっとやらなければいけない。釜焚きは一八〇万円かかる。三〇万円ならどうだ。三〇万円と言ったが、五〇万円用意できないか。 六・五・六 右同 現金五五万円

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一七 自六・五・二〇至六・七上旬 菊地尚則 青森市古川一丁目一五番一〇号宝冠堂薬局 釜焚きをしないとお母さんは死んでしまう。体が悪い、お金がないというのは、全て仏の作用である。釜焚きをやらないと災いが子孫まで延々続いていく。あなた斜視、子供達の蓄膿症、妻の子宮筋腫、父の癌の後遺症、これらは釜焚きをやれば治る。癌であった妻の父の病気も釜焚きをやれば治る。今釜焚きをしないと大変なことになる。三〇万円でやってあげるから、三〇万円持ってきなさい。三〇万の釜焚きは三〇万の価値しかない。今金がないんだったら、ローンでどうだ。 六・五・二一 上記宝冠堂薬局 現金三〇万円

六・六・三〇 青森市松原一丁目一六番二一号株式会社青森銀行志功館前支店宝冠堂薬局笹孝之名義普通預金口座 クレジット契約による振込入金一二八万七〇〇〇円

六・七・一八 上記宝冠堂薬局 現金一〇〇万円

一八 六・五下旬 木村芳子 右同 あなたには、先祖代々の霊が憑いている。あなたの守護神、守護霊が地獄にいて上がって来れないでいる。それを上げてやらなければ、あなたの病気は治らない。釜焚きをやればどんな病気でも必ず治る。一回につき一〇〇万円かかります。まず、三〇万円でもいいですよ。他に祭壇に米、酒、野菜などを上げるお供えをするのに五万円かかる。 六・六・二 右同 現金三五万円

一九 自六・七至六・八上旬 天内由美子 右同 水子の霊が上に上がりたがっている。供養してあげなさい。あなたの生理痛や腰痛は、水子の霊が災いしているからだ。これを取り除かなければ生理痛も腰痛も治らない。水子の霊を取るには釜焚きが一番いい。釜焚きをすると生理痛などはすぐ良くなる。釜焚きには一〇〇万円以上かかる。お金がなければローンでもいい。 六・一〇・一二 右同 現金三六万円

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二〇 六・七中旬 佐藤鉱治 青森市古川一丁目一五番一〇号宝冠堂薬局 あなたは腎臓の移植手術をしたそうですが、その病気は成仏していない。あなたの先祖の霊があなたに憑いているからだ。その霊が上に上がりたがってあなたに訴えているんだ。釜焚きをしてその霊を取れば腎臓の病気はこれ以上悪くならないし治る。運も開けるし、金も入ってくる。釜焚きは一回で一三〇万円だ。早く釜焚きを受けた方がいい。 六・八・三一 青森市松原一丁目一六番二一号株式会社青森銀行志功館前支店宝冠堂薬局笹孝之名義普通預金口座 クレジット契約による振込入金九九万円

二一 六・八・一〇 福原清勝 右同 先祖の霊が成仏できないであなたに憑いているから、あなたが眼の病気になっている。福原家先祖代々の霊を救ってやらなければあなたの眼は良くならない。このままでは絶対近いうちに失明する。今は、盆が近いので、地獄の釜の蓋が開いて時期がいい。先祖の霊を救うために釜焚きの儀式がある。その儀式には金が一三〇万円かかるが、それに近付けるように頑張って下さい。 六・八・一六 上記宝冠堂薬局 現金四五万円

二二 六・八中旬 中田哲子 右同 あなたには先祖代々の霊が憑いている。あなたの守護神、守護霊が地獄の下の方にいて、それを上げないとあなたの病気はよくならない。釜焚きを受けないと霊は取れない。釜焚きを受けなさい。釜焚きを受ければ病気は治る。釜焚きをやれば息子さんの斜視も治る。 六・八・二二 右同 現金五万円

六・九・一二 青森市松原一丁目一六番二一号株式会社青森銀行志功館前支店宝冠堂薬局笹孝之名義普通預金口座 クレジット契約による振込入金四九万五〇〇〇円

右同 上記宝冠堂薬局 現金三〇万円

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二三 六・八・二〇 小山内 進 青森市古川一丁目一五番一〇号宝冠堂薬局 子供の体が弱いのは、あなたに成仏していない先祖霊がいるからだ。その霊が上に上がりたがって訴えている。だから子供の体が弱いのだ。その霊を釜焚きで上に上げてやれば、熱も上がらなくなるし、癇癪も治り丈夫になる。早く釜焚きを受けた方がいい。一回一三五万円だ。釜焚き料については、あるお金の精一杯の額でいい。残りについてもあるときに支払えばいい。 六・八・二六 上記宝冠堂薬局 現金四三万円

六・九・二〇 青森市松原一丁目一六番二一号株式会社青森銀行志功館前支店宝冠堂薬局笹孝之名義普通預金口座 クレジット契約による振込入金五五万四四〇〇円

二四 自六・九・四至六・九・六 駒井順一 右同 先祖の霊がついているから、それを取り払わないといけない。五回釜焚きをやれば治る。釜焚きをやって霊を成仏させる。あなたの病気の原因が霊にある。釜焚きによって霊が上がっていくから、害を及ぼさなくなる。あなたの足の痛みは、先祖の霊が取りついている。釜焚きを五回やれば完全に治る。とにかく受ければ多少なりとも足の方に変化があって回復の方に向かう。釜焚きは、一回一三五万で、三回で一五〇万円ということだけれども、なんとか一〇〇万円で一回やってあげます。五回必要だけども、取りあえず三回やろう。 六・九・六 上記宝冠堂薬局 現金一〇〇万円

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二五 自六・九・七至六・一二上旬 岩本直樹 青森市古川一丁目一五番一〇号宝冠堂薬局 釜焚きという方法が一番手っ取り早くて、大量の仏を上げてやることができる。すぐ子供が、三か月もすればできる。病気や事故の原因は霊のたたりである。釜焚きをやることから始まっていく。近代医学や科学でも解明されていないことがいっぱいある。水子の霊、交通事故の仏も、釜焚きで全部あなたの体から外すことができるんだ。外さなければ病気などが良くならない。釜焚きは特殊なやり方なので、一三五万、一回にかかる。毎日一万円でも五〇〇〇円でも、少しずつ積み立てのようにしして、持ってくればいい。とにかく頑張って早くやったほうがいい。あと一〇〇万くらいだから、ローンでやったらどうだ。山王清心丸という漢方薬を買ったことにして、ローンを組めばよい。 自六・一〇・六至六・一〇・二六(前後二〇回) 上記宝冠堂薬局 現金合計一六万五〇〇〇円

七・一・四 青森市松原一丁目一六番二一号株式会社青森銀行志功館前支店宝冠堂薬局笹孝之名義普通預金口座 クレジット契約による振込入金九九万円

二六 自六・九・一四至六・九・二〇 吉崎由紀子 右同 釜焚きというのがあって、これをやると一度に除霊できる。釜焚きをやれば確実に霊が取り除かれる訳ですが、霊が上がっていくときにはすごい音が鳴ります。釜を焚いて音が鳴るなどということは、考えられないことでしょう。吉崎さんの背中の痛みは、霊が取り憑いているせいなのですから、釜焚きをして除霊しないことには、痛みは取れないのです。普通、釜焚きをすれば一〇〇万円かかる。あなたの場合は七〇万円くらいにしてあげますから、ローンを組んで下さい。 六・九・二〇 上記宝冠堂薬局 現金二〇万円

六・一〇・一一 青森市松原一丁目一六番二一号株式会社青森銀行志功館前支店宝冠堂薬局笹孝之名義普通預金口座 クレジット契約による振込入金五五万四四〇〇円

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二七 自六・九中旬至六・一〇・五 出口美津子 青森市古川一丁目一五番一〇号宝冠堂薬局 病気は、霊が取り憑いたことが原因です。取り憑いた霊を取り除けば病気は治ります。釜焚きをしないといつまでも霊が出ていきません。釜焚きをすることによって病気がよくなります。何回も通って除霊するよりも、釜焚きを一回やれば早く効果があります。病気というのは、子供たちにも影響があります。あなたがそのままだと子供がどうなるか判りません。子供が大切なら、早く釜焚きを受けなさい。金は出せるだけ出せばいいですよ。 六・一〇・五 上記宝冠堂薬局 現金二〇万円

二八 自六・一一下旬至六・一二中旬 新山由美子 右同 あなたの子供の病気は、亡くなったおじいさんが喘息で苦しんでいるため、その霊があなたの子供にかかっているから喘息が治らないのだ。釜焚きをすれば霊が取り祓われて子供の喘息は治る。釜焚きをしなければ、旦那の商売もだめになる。釜焚き代は一三〇万円だ。一回で支払いしなくてもよい。最初は支払いできる分の金でもいいし、残りは分割でもいい。 六・一二・二六 右同 現金三〇万円

自七・一・三一至七・一一・二八(前後一〇回) 右同 現金合計(現金書留)五〇万円

自七・九・二九至七・一二・一一(前後二回) 右同 現金合計(電信為替)五〇万円

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二九 六・一二・一 関節 青森市古川一丁目一五番一〇号宝冠堂薬局 釜焚きというものがあって、若い人でもやってもらっている人がいる。これまでやった施餓鬼供養よりもっと病気がよくなる。お婆ちゃんの病気を治すには、小豆を食べればいいが、釜焚きをやって先祖の霊を成仏させることが必要だ。釜の鳴る音によって先祖の霊を外すことができる。この釜焚きをやれば、お婆ちゃんの病気は必ず治せる。この釜焚きをするには、一回一三五万円かかる。 六・一二・八 上記宝冠堂薬局 現金五〇万円

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三〇 七・一上旬 山田 覚 青森市古川一丁目一五番一〇号宝冠堂薬局 あなたの病気を治すためには除霊しなければならない。あなたに憑いている先祖の霊が低いところにいて上がってこないので、あなたの身体が動かないのだ。除霊するためには釜焚きをする必要がある。釜焚きをすればあなたの病気は必ず早く治る。釜焚きは高いです。釜焚き代金は一三〇万円で、供養するのに上げるものに五万円かかります。 七・一・一四 上記宝冠堂薬局 現金二五万円

三一 七・四・一三 本間清一 右同 あなたの場合、先祖に浮かばれない霊があるので身体の具合が悪いのだ。その霊が身体に憑いているから供養して除霊してやる必要がある。この除霊をするには釜焚きというものをやる必要がある。釜焚きをやって霊を除霊してやる。そうすれば子や孫の代まで影響を及ぼさなくなる。釜焚きをやれば必ず身体の具合も良くなる。この釜焚きは一回一三五万円かかる。私は普段、釜焚きを頼まれて何千万円積まれても簡単にはやっていない。一回にはこのお金を用意できないと思いますから、最初三〇万円くらい払ってもらえばよい。残りは払えるときでいいから。 七・四・一四 右同 現金三〇万円

七・一〇・三〇 右同 現金一〇万円

七・一一・一四 青森市古川一丁目一五番一一号北奥羽信用金庫古川支店一林克昌名義普通預金口座 現金(振込)二万円

七・一一・二〇 右同支店宝冠堂薬局笹孝之名義普通預金口座 現金(振込)二〇万円

七・一一・二九 青森市古川一丁目一五番一一号北奥羽信用金庫古川支店一林克昌名義普通預金口座 現金(振込)六〇万円

七・一一・三〇 右同 現金(振込)一三万円

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三二 自七・一〇・五至七・一〇・六 鈴木裕子 青森市古川一丁目一五番一〇号宝冠堂薬局 あなたの病気は病院に行ってもよくならない。あなたには他仏、水子の霊、先祖の霊等いろんな霊が憑いている。痛み等は霊があなたに訴えているから起きる現象だ。冷え性は守護霊が下に下がっているから身体を守れないために起きる現象です。下級の他仏は祈祷を何回か繰り返せば抜くことができるが、強い霊になると、釜焚きをやらなければ抜くことができない。他仏が抜け、守護霊が元の位置に来れば冷え性等も治るし、あなたにも私と同じことができるようになる。本当は釜焚き一回で二〇〇万円するが、二〇〇万円出して下さいと言っても、あなたにはとても出せる金額ではないと思うから、今あなたが精一杯出せる金額を出して下さい。あなたは一生懸命のようだから、あなたの場合は合計六〇万円で全ての面倒をみてあげる。釜焚きは最低三回やらなければならない。 七・一〇・六 上記宝冠堂薬局 現金三〇万円

七・一〇・二〇 青森市松原一丁目一六番二一号株式会社青森銀行志功館前支店宝冠堂薬局笹孝之名義普通預金口座 クレジット契約による振込入金二九万七〇〇〇円

三三 七・一〇・一八 川﨑キヨ 右同 あなたは人がいいから先祖の霊があなたを頼ってきている。この霊を天上に上げてやらなければならない。そうしないと病気が治らない。先祖の霊があなたを頼ってきているが上がってこれない。霊が強いので釜焚きをしなければ霊が上がらない。釜焚きをして霊を上げれば、病気は必ず治る。釜焚きの代金は二〇〇万円です。釜焚きをすれば必ず治ります。 七・一〇・一九 上記宝冠堂薬局 現金一〇〇万円

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三四 七・一〇・二七 釜萢朋子 青森市古川一丁目一五番一〇号宝冠堂薬局 私の父も脳出血で倒れたことがある。両親は札幌に住んでおり、兄二人は医者をしている。倒れた父については、兄二人はどうしようもないと話し、もう治らないと話した。しかし、私は父に薬を送ってやり、更に釜焚きをやり、父の病気を治している。人の病気は先祖霊の訴えによるものだ。人は死ぬと地獄だ。地獄にいる先祖霊は、子孫に助けて欲しいと訴えている。先祖の霊は一生かかっても供養できるものではない。地獄にいる先祖の霊を上に上げてやらなければあなたのお父さんの病気は治らない。先祖の霊を上げてやるためには釜焚きなどが必要だ。そうすれば病気も治る。釜焚きをやれば一回二〇〇万円かかります。それと同時に薬も飲めばもっと効きます。 七・一一・六 青森市古川一丁目一五番一一号北奥羽信用金庫古川支店宝冠堂薬局笹孝之名義普通預金口座 現金(振込)五〇万円

七・一一・九 上記宝冠堂薬局 現金五〇万円

七・一一・二〇 右同 現金五〇万円

七・一二・一一 青森市松原一丁目一六番二一号株式会社青森銀行志功館前支店宝冠堂薬局笹孝之名義普通預金口座 クレジット契約による振込入金四九万五〇〇〇円

三五 七・一〇・三〇 丸尾 勇 青森市古川一丁目一五番一〇号宝冠堂薬局青森市茶屋町五番四号丸尾勇方 病気の原因は、父親の霊があなたに憑いて成仏していないからです。父親の霊を取り除かないと病気は一生治りません。釜焚きを受けないと肝硬変になります。釜焚きは一回につき二〇〇万円しますが、これをやれば、あなたに憑いている霊が成仏して体が完全によくなります。早い人で二か月、遅い人でも三か月で体は完全によくなります。二、三か月は面倒見ますよ。 七・一〇・三一 上記宝冠堂薬局 現金二〇〇万円

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平成年月日(ころ) 被欺罔者 場所 欺罔文言 平成年月日(ころ) 場所等 詐取金額等

三六 八・一・六 工藤美枝子 青森市古川一丁目一五番一〇号宝冠堂薬局 あなたには釜焚きが必要だ。体調が悪く、目が疲れるのも先祖の霊が取り憑いているからで、身体を良くするためには釜焚きをし、先祖の霊を取り祓う必要がある。釜焚きは一回やると二〇〇万円で、四回やらなければならない。二〇〇万円で全部良くしてやる。 八・一・八 上記宝冠堂薬局 現金(電信為替)三〇万円

八・一・一九 右同 現金(電信為替)一七〇万円

詐取方法別の合計金額 現金 三二八〇万五〇〇〇円 総合計金額 四七一三万一八〇〇円

現金振込 一八五万〇〇〇〇円

電信為替 二七五万〇〇〇〇円

現金書留 五〇万〇〇〇〇円

クレジット契約による振込入金 九二二万六八〇〇円

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